悪の偶像メインビジュアル
ビリング
2020年4月17日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
プライズ
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Trailer

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 ある犯罪に手を染めたことで、もしくは巻き込まれたことで人生が一変してしまう人間たちの苦闘を描くクライム・スリラーというジャンルにおいて、韓国映画界は質量共に他の追随を許さない快作、問題作を世に送り出してきた。ハードな猟奇描写を果敢に映像化しながら、登場人物の愛憎や怨念、哀しみや愚かさをあぶり出すそれらの作品群はコリアン・ノワールと総称され、日本でも多くの映画ファンの関心を集めてきた。ポン・ジュノ、ナ・ホンジンのような今や世界的に注目される大物監督たちも、キャリアの初期にそれぞれ『殺人の追憶』、『チェイサー』というこのジャンルの代表的な傑作を手がけている。

 『シュリ』『ベルリンファイル』のハン・ソッキュ、『ペパーミント・キャンディー』『オアシス』のソル・ギョングという韓国を代表する実力派俳優ふたりのダブル主演が実現した『悪の偶像』は、ひき逃げ事件をきっかけに交錯していく“加害者の父”と“被害者の父”の運命を見すえたサスペンス・ノワールだ。人を殺めてしまった息子のために、理不尽に命を奪われてしまった息子のために行動するふたりの父親の切なる想いが、さらなる悲劇的な事態を招き寄せていく様をスリリングに描出。観る者の予測を一切許さないストーリー展開、人間の業と結びついた濃密なエモーションを体現する二大スターの演技からひとときも目の離せない衝撃作である。

 来る知事選挙での勝利が有力視されている市議会議員ミョンフェの息子ヨハンが、ある夜、飲酒運転中に人をひき殺してしまう。政治家人生の危機に直面したミョンフェは、ヨハンが殺人や死体遺棄の重罪で告訴されるのを免れるために、そして自らのクリーンなイメージを守るために、密かに揉み消し工作を実行する。ところが、被害者の新妻であるリョナという女性が事故現場に居合わせ、今は行方不明になっていることが判明。不都合な事実が明るみに出るのを恐れたミョンフェは、裏社会の探偵を雇ってリョナを見つけ出そうとする。一方、小さな工具店を営む被害者の父ジュンシクは、リョナが今は亡き息子の子供かもしれない子を妊娠していると知り、何としても彼女を捜し出すことを心に誓う。かくして別のルートで“消えた目撃者”の行方を追うふたりの父親は、耐えがたい葛藤に胸を引き裂かれながら、後戻りできない“罪”の闇に足を踏み入れていくのだった……。

 まったく異なる世界に住むエリート政治家としがない労働者を主人公にした本作は、危ういモラルの一線を踏み越えていく男たちの心の痛みを容赦なくえぐり出すダークなヒューマン・ドラマでもある。それでいて、ひき逃げ事件の思いがけない余波が想像を絶する惨劇へと発展していく異様なプロットは、クライム・スリラーの新たな境地を切り開いてきた韓国映画ならではの凄まじさ。物語のキーパーソンである“消えた目撃者”の女性リョナに隠された驚愕の真実が明らかになり、ミョンフェとジュンシクの運命が激変する中盤以降の展開に何度も息をのまずにいられない。

 監督を務めたのは、女子中学生集団暴行事件の実話にインスパイアされた2013年作品『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』で長編デビューを飾ったイ・スジン。同作品で第43回ロッテルダム国際映画祭の最高賞タイガー・アワードを受賞するなど、国内外で絶賛された気鋭監督が、満を持して自身のオリジナル脚本に基づく長編第2作を完成させた。ハン・ソッキュ、ソル・ギョングの入魂演技をじっくりと捉えながら、防犯カメラやドライブレコーダーの映像によって事件を再構成し、生々しいバイオレンスと繊細なサスペンス描写を随所に織り交ぜた演出力は、まぎれもなく一級品と言えよう。また、『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』の主演女優であり、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』でもミステリアスな存在感を放ったチョン・ウヒが“消えた目撃者”リョナに扮し、あらゆる観客のド肝を抜くであろう怪演を披露している。

Story

“加害者の父”と“被害者の父”。そして、二人の運命の鍵を握る“消えた目撃者”。人間の業と結びつく濃密なエモーションを持ち合わせた予測不能のストーリー展開にあなたは釘付けとなる―。
“加害者の父”と“被害者の父”。そして、二人の運命の鍵を握る“消えた目撃者”。人間の業と結びつく濃密なエモーションを持ち合わせた予測不能のストーリー展開にあなたは釘付けとなる―。
 清廉なイメージで庶民の絶大な支持を得ている市議会議員ク・ミョンフェ(ハン・ソッキュ)の政治家人生は、ある日突然、最悪の危機に見舞われた。息子のヨハンが飲酒運転中、海岸沿いの道路で人をはねてしまったのだ。しかも自宅のガレージには、ヨハンが運び込んだ身元不明の被害者の血まみれ死体が転がっていた。事故の瞬間を誰にも目撃されていないことをヨハンに確認したミョンフェは、しばし思い悩んだ末、苦渋の決断を下す。死体遺棄の罪を免れるために死体を事故現場に戻し、血のこびりついた車を処分したうえで、ひき逃げ犯としてヨハンを自首させたのだ。そして次期知事の最有力候補であるミョンフェは、イメージダウンを最小限にとどめるための記者会見を行った。
場面イメージ1
 ヨハンにひき殺された若い男性は、小さな工具店を営む金髪の中年男ユ・ジュンシク(ソル・ギョング)のひとり息子プナンだった。失意のどん底に突き落とされたジュンシクのもとへ謝罪に出向いたミョンフェは、そこで思いがけない事実を告げられる。プナンはリョナ(チョン・ウヒ)という嫁とともに新婚旅行を楽しんでいる最中にこの事故に遭い、なぜかリョナの消息が不明になっているというのだ。
 さらに、自宅ガレージの防犯カメラの録画映像を確認したミョンフェは、被害者プナンが事故後しばらく息があったことを知って衝撃を受ける。もしもヨハンがまだ生きていたプナンの遺棄を謀った事実が明るみに出れば、ヨハンは殺人犯となり、ミョンフェ自身の政治生命も絶たれてしまう。その発覚を防ぐために裏社会の探偵を雇ったミョンフェは、事故現場に居合わせていたに違いない“消えた目撃者”リョナの捜索を開始する。どうやらリョナは中国出身の不法滞在者で、本国に強制送還されることを恐れて姿を眩ましたらしい。
場面イメージ2
 一方、プナンが宿泊していた海辺のホテルを訪ねたジュンシクは、失踪したリョナが妊娠していることを知る。今は亡き息子のためにもリョナを何としても捜し出すと心に誓ったジュンシクは、怪我を負った片足を引きずりながら、リョナと一緒に中国からやってきた異父姉スリョンのもとへ向かう。ところがスリョンは「あの子とは縁を切ったわ」と忌々しげに吐き捨て、「リョナは怪物よ。人間の手には負えない」などとジュンシクに不可解な忠告を与えるのだった。

 かくしてエリート政治家のミョンフェとしがない労働者のジュンシクは、それぞれのルートでリョナの行方を絞り込んでいく。やがて、あるどしゃ降りの夜、繁華街を徘徊するリョナを一歩先んじて発見したのはミョンフェだった。

 本来めぐり合うはずもなかった加害者の父と被害者の父は、地獄の責め苦のような葛藤の果てに自らの人生を修復することができるのか。しかし、すべての鍵を握る存在となったリョナは、まさしく怪物のごとき獰猛な生存本能を内に秘め、予測不能の異常な行動でミョンフェとジュンシクの運命をねじ曲げていくのだった……。
“加害者の父”と“被害者の父”。そして、二人の運命の鍵を握る“消えた目撃者”。人間の業と結びつく驚愕の真実―。

Staff

イ・スジン監督

イ・スジン監督
profile
1977年、韓国・金泉市生まれ。長編デビュー作『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』は、第43回ロッテルダム国際映画祭の最高賞タイガー・アワードを受賞やシッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀作品賞受賞など、国内外の映画祭で数多くの賞に輝いた。世界的な巨匠マーティン・スコセッシ監督は同作を絶賛し、「この映画から多くを学んだ。イ・スジン監督の次回作が待ちきれない」と語っている。

長編第2作目の本作は、韓国を代表する演技派俳優を起用し、第69回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門へ出品されたのを皮切りに、2019ファンタジア映画祭で作品賞と男優賞(ハン・ソッキュ&ソル・ギョング)受賞、第28回釜日映画賞主演男優賞(ハン・ソッキュ)ノミネートなど国内外の映画祭を席巻している。

Cast

ハン・ソッキュ
ハン・ソッキュ
 1964年、韓国・ソウル市生まれ。東国大学演劇映画科で学び、いくつかのTVドラマ出演を経て『ママと星とイソギンチャク』(95・未)で映画デビューを果たした。イ・チャンドン監督のデビュー作『グリーン・フィッシュ』(97)の演技で絶賛され、大鐘賞、青龍賞の主演男優賞を受賞。チャン・ユニョン監督作品『接続 ザ・コンタクト』(97・未)、ホ・ジノ監督作品『八月のクリスマス』(98)も好評を博し、日本でも知名度を高めた。さらに『銀杏のベッド』(96)に続いてカン・ジェギュ監督と組み、韓国の興行記録を塗りかえた大ヒット作『シュリ』(99)の主演を務め、韓国を代表するスター俳優の地位を確立した。『八月のクリスマス』のシム・ウナと再共演したスリラー『カル』(99)に出演したのち、俳優業を一時休養し、スパイ・サスペンス『二重スパイ』(03)で復帰。その後はハ・ジョンウと共演したスパイ・アクション大作『ベルリン・ファイル』(13)などで確かな存在感を示している。そのほかの主な出演作は『スカーレット・レター』(04)、『ユゴ 大統領有故』(05)、『恋の罠』(06)、『白夜行 -白い闇の中を歩く-』(09)、『パパロッティ』(13)、『尚衣院-サンイウォン-』(14)、『監獄の首領』(17)など。
ソル・ギョング
ソル・ギョング
 1967年、韓国・忠清南道舒川郡生まれ。漢陽大学校演劇映画学科を卒業した。『ディナーの後に』(98)、『ユリョン』(99)などに出演したのち、イ・チャンドン監督のヒューマン・ドラマ『ペパーミント・キャンディー』(99)でひとりの男性の20年間にわたる激動の運命を体現し、青龍賞主演男優賞を受賞。カン・ウソク監督のサスペンス映画『公共の敵』(02)では大鐘賞と青龍賞の主演男優賞を受賞している。さらに、イ・チャンドン監督がヴェネチア国際映画祭で監督賞に輝いた『オアシス』(02)、実在の極秘特殊部隊を題材にした『シルミド/SILMIDO』(03)、伝説的なプロレスラーに扮した『力道山』(04)でも圧倒的な存在感を放ち、韓国のカメレオン俳優との異名を取った。近年も異色のクライム・スリラー『殺人者の記憶法』(17)とその別バーション『殺人者の記憶法:新しい記憶』(17)、再び大鐘賞主演男優賞を受賞した『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』(17)で鮮烈なインパクトを残している。そのほかの主な出演作は『TSUNAMI-ツナミ-』(09)、『冬の小鳥』(09)、『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(12)、『ソウォン 願い』(13)、『監視者たち』(13)、『22年目の記憶』(14)、Netflixオリジナル作品『ルシッドドリーム/明晰夢』(17・未)、『1987、ある闘いの真実』(17)など。
チョン・ウヒ
チョン・ウヒ
 1987年、韓国・京畿道利川市生まれ。京畿大学校演技学科を卒業し、ポン・ジュノ監督作品『母なる証明』(09)などに出演したのち、女性たちの友情ドラマ『サニー 永遠の仲間たち』(11)におけるイ・サンミ役で大鐘賞と青龍賞の助演女優賞にノミネートされた。そして、韓国で実際に起こった女子中学生集団暴行事件にインスパイアされた衝撃作『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』(13)に主演。イ・スジン監督と初めて組んだ同作品は国内外の映画祭で賞に輝き、チョン・ウヒ自身も青龍賞主演女優賞を受賞した。その後はナ・ホンジン監督のホラー映画『哭声/コクソン』(16)、イ・ユンギ監督のヒューマン・ファンタジー『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』(17)などの話題作に出演している。そのほかの主な出演作に『明日へ』(14)、『笛を吹く男』(15・未)、『ビューティー・インサイド』(15)、『愛を歌う花』(16)、『王の預言書』(18)がある。  

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